黄金を抱いて翔べ

ボブ・マリ

2012年12月03日 07:33

2012年12月3日(月)

夕べは,フォーラムの「黄金を抱いて翔べ」を見た。
井筒監督で,魅力ある役者陣。
でも,映画はイマイチだった。

なんでいまこの映画を撮ったのか,意図がわからん。
役者たちは,脇役を含めて,それぞれいい演技をしているのだけど。

原作は,高村薫にはまっていた10年ほど前に読んだが,まあ,しょうじき,内容はあんまり覚えてない。
うっ屈した,暗いエネルギーの物語,というような印象,かな。

人物たちの関係や過去が映画だとわかりにくいのだ。
浅野忠信と妻夫木聡の過去の関係とか,浅野がなぜ千葉から大阪に来たのか,とか。
チャンミン演じる北朝鮮出身の男の背景は,妻夫木とのやりとりからわかるようにはなっているけど。
そのへんがもっとよくわかるように描いたら,監督が公式HPで語っている映画製作の意図が,見る者につたわったはずだと思う。

役者陣のなかでは桐谷健太がもうけ役。
井筒監督が「一種のコメディ^リリーフでもある」と語っていたが,はりつめた映画の雰囲気のなかでちょっとほっとできるシーンが彼のまわりにはあった。
ますます監督が使いたくなる役者になっていきそうだ。

ほとんど女性が出てこない中では妻夫木がいっとき勤める倉庫会社のベテラン事務員を演じた佐藤仁美が光っていた。
この人も,監督のイメージをよく読みとって演技にあらわせるクレバーな人だ。
「平清盛」でも,清盛の敵を,いかにもいやらしい表情で演じている。




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