2012年03月19日

カーネーション その24

2012年3月19日(月)

夏木マリの糸子にかわって2週過ぎた。

夏木マリじゃだめだ,もう興味をもてない,尾野真千子の70代が見たかった,等々の意見もネット上で散見するが,私は,けっこう,好きだ。
コトバの問題はいかんともしがたいものはあるが。
尾野真千子との連続性は薄いので,ある種,別物と思って見ている。

先週までは72歳の糸子だったが,今週は88歳になって登場。
特殊メーク,すごいなあ。首のメークと,目じりが年寄りらしい。
背中も丸くなって,本人が猫背にしてるだけじゃなく,何か詰め物をしてるのかな。

さらに,待望の奈津,登場,扮するのは,「ちりとてちん」で粋なおばあちゃんだった,江波杏子である。
この横顔のシャープさは,栗山千明ともつながる。

病院の中でのファッションショーを打診されて糸子は一も二もなく引き受けた。
老年期に入ってなお,いや、入ってこその,洋服の力が,今週のテーマなようだ。
こうなると,老年期までこのドラマが描く意味がよくわかる。
公式HPの渡辺あやさんのインタビューでも,老年期と死まで描くことは,このドラマでは不可欠と思って書いてきたとういうことが語られている。
朝ドラ史上,主人公が死ぬというのは,今まであったかいな。
ないんじゃないだろうか。
不倫の恋というのも,朝ドラの中ではチャレンジングなテーマだったけど,死もまた然り。

このインタビューではいろいろこぼれ話もあって,北村が額縁の中の人になってしまったのは,ほっしゃん。があまりに素晴らしくて,老年期に交替できる役者が思い浮かばなかったから,死んでもらった,とか。確かに素晴らしかった。

乱暴なくせに子煩悩,という矛盾する性格をもった人物というのが,身近にいなくて理解できなかったので,その傾向をひとりの人としてまとめあげることは,小林薫という器に託した,とも。小林薫,さすがやなあ。
そして,何より面白いのは,この脚本家は,うまく書けるときというのは,登場人物が自発的に生き生きと動き出して,脚本家の脳内で自然に起きる登場人物の会話をただ書きとるだけだったとき,ということ。
この自然さ。
憑依型,といおうか,サニワのような脚本家さんである。

そう思うと,面白くて大好きだった「ちりとてちん」が作為的に思えてくる・・・ま,どっちがエラいというものでもないが。「清盛」についていまひとつノリきれんのは,藤本有紀さんの作為性が前面に出過ぎと感じるからかもしれない。
先週の三バカトリオと糸子の共同戦線話も楽しかった。
若き日の糸子がパッチ100枚とか,無茶な仕事を引き受けて,家族総出で手伝う様が,航空母艦のよう,と書いたけど,糸子,三バカトリオ,こうちゃんにたかちゃんという面々もまた,あらたな航空母艦のようであった。ただ,若き日と違うのは,糸子がすべてを引っ張っているのではなく,適材適所の働きがあるところであった。この母艦には,ちょっとばかしグレてみた孫娘,りかも乗っていて,自分の道を見出していった。

糸子を三バカとのプロジェクトに押し出すのは,娘たちの引退勧告であったが,宣伝には三人娘をしっかり活用(糸子はいやいやながら,であったが)。
三人と糸子,という数の組み合わせが,考えてみたら多い。
そも,糸子は四人姉妹の長女で,妹は3人。
娘は3人。
イトコブランドのアホボンたち3人。
若き日にさかのぼれば,お父ちゃん,木岡のおっちゃん,木之元のおっちゃん。
最後まで見届けたい。



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Posted by ボブ・マリ at 20:30│Comments(0)テレビ
 
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